南米自転車旅行記ボリビア編

文章中の写真をクリックすると大サイズで見ることができます。

ボリビアへ入国、谷底の街ラパスへ

 ボリビアに入ると、それまで舗装道路だったのが、急に未舗装になりひどい道になる。石畳の道も現れる。直径10cmくらいの石を敷き詰めてあって、ガタガタで走りにくくてしようがない。
 国境のボリビア側の町コパカバーナに着く。この町もチチカカ湖畔にあり、スペイン人が建てた立派な大聖堂がある。デザインが独特でなかなか美しい。
 インカ帝国発祥の地と言われている、チチカカ湖の太陽の島、月の島のツアーへ行く。ガイドはスペイン語のみで、全然わからなかった。遺跡などに立ち寄る度に入場料を取られ、多少不快なツアーだった。
 またその夜、下痢になり、体調が良くないので、ラパスまでそれ程距離はないがバスで行くことにする。昨夜に雨が降って未舗装の道はドロドロだ。途中ティキーナ湖峡でチチカカ湖を渡る。全員バスから降りて、人間はボートで、バスもそれがギリギリ乗るくらいのボートに乗せられて、湖を渡る。またしばらく走っていくと、みすぼらしい建物が立ち並ぶ、しかし活気のあるアルトラパスの街に入る。
 ラパスの街は標高3800mにあり、世界最高所にある首都だ。谷底にあり、その谷の上、標高4000mの高原に貧しい人たちが集まってもう一つの街、アルトラパスができている。やがてバスはラパスの街を見下ろしながら谷底へと降りていく。
 ラパスには日本人宿「トキ・ゲストハウス」があり、そこに泊まることにする。その夜、「ムシカ・デ・マエストロ」という今人気のあるフォルクローレのグループが出演しているペーニャ(フォルクローレを聞かせる酒場)があるというので、日本人4人でタクシーに乗り、行ってみる。タクシーは石畳の急坂をすごいスピードで降りていく。ブレーキをかけてもそのまま突っ込んでいきそうだ。「ムシカ・デ・マエストロ」のバンドリーダーは菱本さんという日本人だ。メンバーは28人もいるということだが、場所が狭いので18人くらいしか来ていなかった。それでもかなり狭そうだった。音楽はなかなかすばらしく、夜遅くまで盛り上がった。
 ラパスの街は少しでも空気の濃い谷底に金持ちが住み、高いところになるほど貧乏人が住む。山の手に金持ちが住む日本なんかと反対だ。ラパス郊外のティワナコ遺跡に行ってみる。インカ帝国の先祖の人々が作ったのではないかと言われる巨石文化の遺跡だ。太陽の門と呼ばれる、一枚の石を彫って作られた門や、壁にある人の顔の彫刻などがすばらしい。小学生くらいの集団に取り囲まれて、何枚も写真を撮らされたり、「××は日本語で何というか?」などいろいろ聞かれる。

世界最大の塩の湖、ウユニ塩湖

 ラパスに自転車を置いて、トキに泊まっているメンバー3人でウユニ塩湖へのツアーに行こうという話になった。ラパスから列車でウユニの町へ行き、そこからツアーに参加する。ツアー会社で、魚住さんという南米を旅行している日本人の女の子と偶然会い、同じツアーに参加することになる。ウユニ塩湖は世界最大の塩の湖で東西120km、南北100kmに渡って塩の大平原が続く。固くしまっていて、車も走ることができる。それ以外にラグーナコロラダと呼ばれる赤い湖や高温の蒸気を吹き出す間欠泉、ラグーナベルデと呼ばれる緑色の湖等を4輪駆動車で巡る。途中の道は、何もないところに4駆が通り、その轍がそのまま道になったような、道とは呼べないような道だ。湖にはフラミンゴが沢山いる。様々な色の岩山と高原の青い空、そして青い湖の対比がすばらしい。

ボリビアの街々を回る

 ウユニの町でエクアドルのワキジャス、ペルーのリマ、クスコで出会った大貫さんとまたバッタリ出会った。これからウユニ塩湖のツアーに参加するという。私は途中いくつかの街に寄りながらラパスまで帰ることにする。魚住さんも考えていたルートが私とほぼ同じだったのでしばらく一緒に行くことになる。まずポトシの街へ、ここは銀鉱山のある街で、標高4000m、世界で一番高いところにある街だ。鉱山見学のツアーに参加する。鉱山では労働者たちが植民地時代とほとんど変わらない条件で働いている。機械などなく、手で彫った穴にダイナマイトを仕掛けて、火を付けて逃げる。という原始的な方法だ。彫った岩を運ぶのも、すべて人間がやる。労働者たちは元気を出すためにコカの葉を噛みながら、暗い鉱山で長時間働いているそうだ。
 ポトシからボリビアの憲法上の首都、スクレへ、ここは白い建物が立ち並ぶ美しい街だ。そしてフォルクローレの楽器の産地、コチャバンバへ。中沢さんという日本人が宿をやっているというのでそこへ行く。中沢さんは、世界的に有名なフォルクローレのグループ、カルカスにあこがれてここへ来たらしく、カルカスのメンバーとも友達だ。魚住さんが、日本に帰ったらチャランゴ(マンドリンに似たフォルクローレの楽器)を習いたいというので、腕利きの職人にチャランゴを作ってもらう。値段もかなりのものだが、仕上がりや音の美しさがその辺のチャランゴとは違う。

アンデスの峠を越えチリへ

 オルロへ寄ってからラパスに戻り、魚住さんと別れて、自転車でチリのアリカを目指す。ラパスを出るとき谷の上まで急坂を登らなければならないので苦労する。1日目はパタカマヤの町でホテルに泊まる。ここからオルロへ行く道とチリのアリカへ行く道とに別れる。途中の村の人々は土をこねたレンガを積み上げたわらぶき屋根の家に、リャマやアルパカを放牧して暮らしているようだ。だんだんとアップダウンがきつくなってくる。途中みぞれに降られる。2日目は標高4200mの高原でキャンプする。翌朝起きてみると自転車とテントが凍り付いていた。ボリビア最高峰のサハマ山が間近に見える。国境の峠は4650m、空気は平地の3分の2くらいしかない。上り坂では2、30m進むと息切れし、すこし休んでまた2、30m進むという繰り返しだった。

チリ編へ

 ◆戻る